根管治療の難易度は、歯の位置によっても大きく影響される。
基本的に奥歯になるほど、根管治療は難易度が高くなる。
その理由としては、
・奥歯の方が、歯の神経管の数が多く、構造も複雑になる。
・治療の器具が届きにくくなる。
・口が開きにくい患者さんだと、治療が困難になる。
・治療部位が見えにくくなる。
などが挙げられる。
国によっては、大臼歯の根管治療は専門医が行うものという位置付けとなっているようだ。
さて、では前歯だからといって、根管治療は簡単なのだろうか?
決してそんなことは無い。
治療が簡単に見える上の前歯でも、一際注意を要する歯がある。
それは、上顎の側切歯(真ん中から2番目の前歯)だ。
2つの歯を比較してみよう。
・上顎中切歯(真ん中の歯)
・上顎側切歯(真ん中から2番目の歯)
どうだろうか?
この歯の神経管は、根の先で大きく曲がっていることが非常に多い。
そのため根管治療の際にうまく器具を通すことができず、他の前歯と比べても再発率が高い。
また、根尖病変(根の先の膿)が大きくなりやすいのも特徴的だ。
根管治療だけでは治らないため、歯根端切除術の機会が多いのもこの上顎側切歯である。
根管治療だけで治った症例もあれば、
根管治療では治らず、歯根端切除術まで行った症例もある。
前歯であろうが奥歯であろうが、簡単な根管治療は無いと言える。