今回は根管治療の治療回数や期間について、述べてみたい。
当院に来院する患者さんで、
「数ヶ月の間、根管治療しているが治らないので診てほしい。」
「根管治療を受けているが、終わる様子がないので診てほしい。」
という相談がよくある。
我々専門医の治療は、回数がかかったとしても2−3回で終了する。
数ヶ月も延々と根管治療をすることは無い。
保険治療内での根管治療は材料も方法も、旧態依然のものが多く、限界があるということは事実だ。
一般的に5回以上かかることが多く、場合によっては半年くらいずっと治療をしているケースもある。
どうして治療しても、症状がよくならないのだろう?
なぜ治療に半年もかかるのだろう?
その原因を挙げてみよう。
①虫歯の取り残し
虫歯をきちんと除去できていない症例が非常に多い。
虫歯は細菌の塊である。
虫歯を取り残した状態で根管治療したのでは、治るものも治らない。
②無菌的な環境が整っていない
何度もブログにも出ているラバーダム。
本来はこれ無しで根管治療は行えないという、マストアイテムだ。
ほとんどの歯科医院ではラバーダムはしていないだろう。
また以前ブログでご紹介した隔壁も、必須処置である。
十分な器具の滅菌・消毒も当然必要だ。
③十分な時間が確保できない
根管治療は精密な治療ゆえ、ある程度のまとまった時間は必要だ。
10〜15分単位の治療では、十分な治療は難しい。
最低60分くらいのまとまった時間は欲しい。
④治療方針が間違っている
治療法は日進月歩であり、古い治療法が間違った治療法になることもある。
仮蓋無しの根管治療はその最たるものだと思う。
痛みを取るために(歯の減圧を目的として)、仮蓋をしないで数週間〜数ヶ月、根管治療をされている患者さんがいる。
仮蓋をしないというのは、あくまで応急処置のために行うものだ。
治療の間にちゃんとした仮蓋をしないと、細菌が根の中に入り放題になる。
治ることはないと言えるだろう。
またフィステルをレーザーで焼いて治療しようとしたり、抗生物質を延々と処方されたりしている患者さんもいる。
そういった処置も、根尖性歯周炎の治療としては無意味である。
どの治療にも言えることであるが、「正しい診断と治療方針」が最も大切なことであると思う。