Doctor's Blog

院長ブログ

症例;左下6番 感染根管治療(歯内歯周病変)

今回は左下6番の根管治療の症例をご紹介しよう。

 

患者さんは40代男性。

主訴は「左下の奥歯が腫れているのが気になる。噛むと痛みもある。他院を受診したが、そこでは骨が溶けている範囲が大きいため治療をしても意味がないので、抜歯をしなければならないと言われた。できれば歯を残したい。」という事であった。

 

レントゲンを見てみよう。

 

(術前のレントゲン、CT)

 

左下6番に分岐部〜歯根全体を取り囲む、大きな骨吸収がある。

 

打診(+)、咬合痛(+)、フィステル(+)に加えて、

頬側の歯周ポケットが10mmであった。

 

いわゆる、歯内歯周病変(エンドペリオ)病変と言われる状態である。

簡単に説明すると、「根の病気と歯周病の合併症」であり、一般的には治りが悪いと言われている。

 

おそらく前医の診断でも、上記の病態であるから治療が難しいと判断したのだろう。

 

この歯内歯周病変も、専門的には細かく分類があり、状態によっては根管治療のみで治る可能性が高い。

術前の診断が非常に重要となる。

 

今回のケースは、根管治療のみで治癒する可能性が高い症例だ。

 

そのポイントとしては、

①他の歯が、歯周病にかかっていない

②イニシャルトリートメント(初回治療)であること

である。

 

治療は一回法にて行なった。

 

(術後のレントゲン)

 

仕上がりは問題ないと言える。

 

術後1週間でフィステルは消失した。

ここから定期的にレントゲンで経過を追っていく。

 

(術後6ヶ月のレントゲン)

 

分岐部含めて、病変は縮小している。

症状も無いため、この時点で最終補綴へ移行した。

 

(術後1年のレントゲン、CT)

 

分岐部を含めて、病変は完全に消失している。

骨の再生も認め、完治と言えるだろう。

 

今回のケースは根管治療のみで、歯周病の治療(SRPなど)は一切行なっていない。

 

診断が正しければ、治療前の骨吸収が大きくても、病気が治癒することがわかる症例である。