Doctor's Blog

院長ブログ

治療しているのに治らない理由とは?

当専門室では、「他院で治療をしているが、なかなか良くならない」という相談を受けることが多い。

なぜ治療をしているのに、良くならないのだろうか?

根管治療の対象となるのは、歯の根の中に細菌が繁殖することによって起こる「根尖性歯周炎」という病気である。

このような細菌が歯の中で繁殖すると、下の図のように歯根の先端で炎症を引き起こす。レントゲンで黒い影が映る。

よく歯科医院で言われる、「根の先に膿がある」というやつだ。

この膿が大きくなると、歯茎を突き破って出てくる。

患者さんは「歯ぐきから膿が出てくる」という形で、自覚症状を感じることになる。

専門用語で「サイナストラクト」とか「フィステル」という。

 

このような状態に対して有効な、歯を残すための治療は、「根管治療」もしくは「歯根端切除術(意図的再植も含む)」の2択しか無い。

それ以外の治療で、治ることは無いのだ。

 

それなのに、以下のような治療を数ヶ月続けているという話を患者さんから受けることが多い。

①歯ぐきが腫れるたびに、抗生物質を処方してもらっている。

②歯ぐきが腫れたら、毎回切開して膿を出してもらっている。

③腫れた部分にレーザーを当てて治療してもらっている。

 

抗生物質が歯根の内部まで浸透して、細菌を死滅させることは無い。

「切開して膿を出す」、「抗生物質を処方する」というのは、痛みや腫れがひどい時の応急処置であって、根本的な治療法ではない。

また、レーザーをフィステルに当てても無意味である。(口内炎ならばわかるが…)

 

担当医が根管治療が苦手だからやりたくないのか、本当に有効だと思っているのかはわからないが、上記のような治療を数ヶ月も続けていたら、正直患者さんが可哀想である。

 

もしこのような治療を受けて悩んでおられるのなら、根管治療が得意な歯科医院に転院することを検討した方が良いでしょう。