今回の症例は、左上1番の再根管治療。
CTの有効性を再確認させられる症例だった。
患者さんは50代女性。
主訴は「昔根管治療した歯が痛い。前に診てもらっていた歯医者では、原因がわからないと言われた。」であった。
(術前デンタルレントゲン)
打診(+)、咬合痛(+)、根尖部圧痛(+)、歯周ポケット正常。
デンタルで見ると、根尖部に病変は認めない。
一見問題なさそうだが、ここでCTを撮影すると、
(術前CT)
歯根中央部に骨吸収を認めた。
側枝に由来する病変 or 部分的な歯根破折の可能性が示唆される。
デンタルレントゲンだけでは、診断がつかなかっただろう。
前医でもCTは撮影していなかったそうだ。
マイクロスコープ下で確認したところ、歯根破折は認めなかったため、再根管治療を行った。
長めの金属ポストが入っているが、超音波スケーラーを駆使すれば数分で除去が可能だ。
治療は1回法で終了している。
(術後のデンタルレントゲン)
根管内には、かなり汚染を認めた。
マイクロスコープ下で可能な限り洗浄を行った。
仮歯(TEK)の状態で経過観察を行うこととし、約10ヶ月が経過した。
(術後10ヶ月のレントゲン)
(術前後の3D画像の比較)
術前にあった、唇側の骨吸収部は消失し、骨の再生を認める。
ここまできたら、最終補綴に入っても安心だ。
外科治療は必要なくなった。
非外科(根管治療)で済むのであれば、それに越したことはない。
全ての根管治療にCTが必要ではないが、歯内療法の分野でも、CTはもう欠かすことができない機器になっていることは事実である。