右下7番の治療。50代女性。
患者さんの主訴は「噛むと痛い。他院で抜歯が必要と言われた歯だが、できれば歯を残したい。」であった。
(治療前)
比較的大きな根尖病変がある。
ラバーダムを使った根管治療は、受けたことがないそうだ。
打診(+)、咬合痛(+)、根尖部圧痛(−)、歯周ポケットは正常。
病変が大きく、歯根を取り囲むような透過像があるため、抜歯と診断されたのだろうか。
提案した治療は「再根管治療」だ。歯根破折がなければ、残せる可能性はある。成功率は60−70%といったところか。
もし再根管治療で治癒しなければ、意図的再植をトライしなければならない。
(治療後)
治療は1回法で終了している。
私はほぼ100%のケースで、1回法での治療である。根管治療に何ヶ月も要することは絶対に無い。
あとは時間をおいて、治癒してくれるかを判断する必要がある。
治療後2週間で、患者さんの痛みは全て無くなった。病変が消失し、骨が再生するには数ヶ月を要する。
そして、術後9ヶ月でのレントゲン写真である。
(術後9ヶ月)
根尖病変は完全に消失した。周囲の骨も再生しているのがわかる。
完治したと言っていいだろう。
このように歯根破折がなければ、根尖病変が大きくても、根管治療で治ることも多いのだ。
根尖病変が大きいという理由だけで、抜歯と決めつけるのは大きな間違いである。
患者さんも喜んでおられた。
ルールを守った根管治療は、歯を残す大きなパワーがあることがお分かり頂けるだろう。