Doctor's Blog

院長ブログ

症例;左下5番、意図的再植術

今回は意図的再植術のケースをご紹介しよう。

 

そもそも意図的再植術とはどんな治療なのか?

 

簡単に説明すると、

①まず該当歯を抜歯する

②口腔外で、歯根端切除術ならびに逆根管治療を行う

③その後、該当歯を元の抜歯した穴に戻す

といった治療である。

 

基本的に根管治療だけで治らない場合は、歯根端切除術を追加で行うが、「歯根端切除術が適応でないケース」が存在する。

 

・上下7番の歯

・根尖とオトガイ神経が近接している

などだ。

 

今回のケースは、上記の根尖とオトガイ神経が近いケースだ。

 

患者さんは40代女性。

主訴は「他院で根管治療したが、噛むと痛みがあるので、なんとかしたい。」である。

 

(術前のレントゲン、CT)

 

打診(+)、咬合痛(+)

根尖病変も大きく、前医により根尖が破壊されている状態である。

根管治療では高い成功率が見込めないケースのため、意図的再植術を提案し、同意された。

 

 

(術後のレントゲン、CT)

 

治療は1時間もかからずに終了する。

この治療のポイントは、口腔外での操作時間をできるだけ早く行うこと。

歯根膜(歯根表面の細胞)の活性を落とさないためだ。

BCシーラーとパテは、逆根管充填材としてここでも活躍する。

戻した歯は、およそ1ヶ月で生着する。

 

 

(術後9ヶ月のレントゲン、CT)

 

いかなる症状もなく、被せ物を入れて快適に噛める状態だ。

周囲の骨も完全に再生しているのがわかる。

 

「抜いた歯を戻すなんてそんなことできるの?」と思う方もいるでしょう。

適応症であれば、きちんと治るのです。