ラバーダムを始めとした、適切なルールを守った根管治療であったとしても、その成功率は残念ながら100%ではない。
根管治療の各種成功率は、以前のブログにも載せたとおりである。
そう、根管治療にはそもそも限界がある。
なぜなのか?を、今回は説明したいと思う。
根尖性歯周炎(根の先に膿ができる状態)は、口腔内の細菌が歯根の中に感染することによって起こる病気である。
根管の中というのは、以下の写真のように、実際はかなり複雑な構造をしている。
この根管の中に、億単位の細菌が感染を起こしたら、それを無菌化することは現代の治療技術では残念ながら不可能だ。
では、根管治療を行なっても、なぜ治る場合と治らない場合があるのだろうか?
その理由は「患者さんの免疫力」と「感染した細菌」のパワーバランスにある。
根管内に感染した細菌が増えてくると、根尖性歯周炎ができる。
根管治療により細菌が減少し、「患者さんの免疫力が、細菌に勝つ状態」となれば、根尖性歯周炎は治癒していく。
しかし、根管治療をしても細菌が十分に減少しない場合もある。
「患者さんの免疫力が、細菌に負けている状態」であれば、根尖性歯周炎は治癒しない。
これが治る場合と、治らない場合の大きな違いだ。
根管治療で治らない場合は、外科的歯内療法(歯根端切除術や意図的再植術)が必要になる。
つまり、根尖性歯周炎の問題を解決しようとするならば、外科治療に精通していなければならない。
この外科的歯内療法が適切に行えることが、我々専門医の大きな特徴である。