マイクロスコープ診療
マイクロスコープの主な有用性は2つあります。
拡大視野での治療
医科では脳神経外科・耳鼻科・眼科などで使用されていましたが、近年は歯科の領域でも応用されるようになりました。歯科治療は、非常に狭い術野で、細かい作業を求めらます。特に私が専門とする根管治療の分野は、0.1ミリの世界です。裸眼で精度の高い治療をするのは、限界があるのです。
マイクロスコープを使用すると、治療する部位を3ー20倍まで拡大してみることができます。(ルーペも歯科治療には有効ですが、こちらは倍率が8倍くらいが限界です。)
また、見る方向と同じ方向に光が届く(同軸照明と言います)ため、対象物が非常に明るくクリアに見えます。
これにより、従来は見ることが出来なかったものが見れるようになり、診断および治療の精度が格段に上がりました。
10年以上使用しておりますが、私の歯科医師人生においてマイクロスコープの導入は革新的な出来事でした。今後も私にとって必要不可欠な存在であることは間違いありません。
After all, we can only treat what we can see. (By Prof. Dr. Syngcuk Kim)
私たちは見えるものしか、治療することはできないのです。
写真・動画撮影機能
もう一つの機能として、治療中に術者が見ている視野を撮影・記録できることです。マイクロスコープにデジタルカメラを接続することで、治療経過を写真や動画に収めます。
患者さんに、治療前・治療後の撮影記録を大きなモニターでお見せして説明します。自分のお口・歯がどうなっているのかを患者さん自身も知ることができるので、納得して治療を受けることができます。
特にレントゲンだけでは検出できない病気(歯根破折、歯の亀裂、歯と歯の間の虫歯など)については、実際に自分の歯がどうなっているのか目で見てみないと、患者さんも「本当に治療の必要があるのかな?」と感じる場合もあるかと思います。
インフォームドコンセントにおいても、非常に重要な役割を果たすことができます。
また、術者自身も撮影記録を振り返ることにより、治療の質の向上に役立てることができます。